法華取要抄
夫れ諸宗の人師等或は旧訳の経論を見て新訳の聖典を見ず或は新訳の経論を見て旧訳を捨置き或は自宗の曲に執著して己義に随い愚見を注し止めて後代に之を加添す、株杭に驚き騒ぎて兎獣を尋ね求め智円扇に発して仰いで天月を見る非を捨て理を取るは智人なり、…
夫れ以れば月支西天より漢土日本に渡来する所の経論五千七千余巻なり、其中の諸経論の勝劣・浅深・難易・先後・自見に任せて之を弁うことは其の分に及ばず、人に随い宗に依つて之を知る者は其の義紛紕す、所謂華厳宗の云く「一切経の中に此の経第一」と、法…
まず、始めに「扶桑(ふそう)沙門(しゃもん)日蓮之を述ぶ」とあります。■扶桑=古代、中国で日の出る東海の中にあるとされた神木。また、それのある土地。転じて、日本の異称。(『大辞泉/小学館』より) ■沙門=出家者の総称。サンスクリット語のシュラ…