其の故は〜猶怨嫉多し

 其の故は在世は能化の主は仏なり弟子又大菩薩・阿羅漢なり、人天・四衆・八部・人非人等なりといへども調機調養して法華経を聞かしめ給ふ猶怨嫉多し

《通解》
 その理由は、仏がこの世に存在している時は、衆生を教え導く主は仏である。その教えを受ける弟子は、大菩薩や阿羅漢でる。人や天界の住人、四衆(比丘、比丘尼、優婆塞、優婆夷)、八部(天、竜、夜叉、乾闥婆、阿修羅、迦楼羅緊那羅摩睺羅伽)、人や人間ではないものも含まれていたが、調機調養(衆生の機根を整え訓練すること)して法華経を説き聞かせたのである。それでもなお、仏を非難・中傷するものは多かった。